Home>子どもの身を守るために>下校時の現状と問題点
「朝、元気に出かけたはずの我が子が帰ってこない…」そんな状況を想像することができますか?
「学校からの帰り道で…」という事件に巻き込まれる子どもが後を絶ちません。同様の事件が日本中でこれだけ起こっているのに「なぜ?」子どもを守ることができないのか…。
れまでに掲示板に寄せられた意見やつきぐまが見てきた学校での現状と問題点などを取り上げます。
通学路における現状と問題点(場所の問題)
1.通学路には必ず1人になってしまう分岐点がある。
事件が発生すると、必ずと言っていいほど学校は「集団下校」の対策をとります。確かに集団下校は人数が多いので有益な部分はありますが、この言葉で保護者はどこか「安心」してしまいませんか?
学校には校区内の各家庭から子どもたちが集まってきます。逆に言えば学校から帰るときは各家庭に帰るわけですから、児童が全員同じ家に帰るわけではありません。なので「集団下校」と銘打っても、必ず分岐の場所があり、必ず1人になる状況が発生します。
「同じマンションですから…」という方もいますが、隣の部屋の人間に拉致され殺害されるケースも過去にあったことを考えると、やはりマンション内にも「分岐点はあるのだ」と考えたほうがいいと思います。
「集団下校」の形を取る場合、学校から1人で帰る子どもはさすがに少ないようです。しかし友だちと学校は出たものの途中に分岐点があり、そこからは1人になってしまうことも多くあります。
教職員同行による「集団下校」においても、やはり教職員の目が届くのはこの分岐点までです。
2.通学路での車の事故防止を最重要視するため、車の少ない道
=人通りの少ない道を通学路に設定することがある。
大通りでは交通量が多いため、常に交通事故の発生の危険があり、交通量が少ない裏道を通学路に設定してる場合もあります。ところが裏道によっては人通りが非常に少ないところもあります。
数十年前であれば、交通事故を防ぐという観点が一番重要なポイントだったので、通学路に交通量の少ない道を選ぶのいうのが当たり前でしたが、現在では例えどんなに細い道でも車が進入してきます。おまけに、大通りよりも車道と歩道が分離していない細い道の方が車への連れ込みが簡単となり、誘拐の危険性が増します。
その上、大通りよりも「人通りが少ない」道は人の視線が届かない=死角が増えるために、やはり危険な道となっていると思われます。
通学路を設定した年代が古ければ、現在の状況とずれている可能性があることをまず把握し、必ず点検してほしいと思います。
3.事件が起こりやすい場所がある。⇒いわゆる死角となる場所です。
これだけで1ページできてしまうくらいなので、また別途考えていきたいと思います。
4.少子化のため子どもがまばらにしかいない(1人になる状況が増える)。
学校が統廃合などで校区が広くなっている。
これまでの時代は非常に子どもの数が多く、下校時にわざわざ集団にならなくてもかなりの大集団での下校が可能でした。しかし現在のように少子化が進んでしまうと、地域の大きさが変わらなければ、居住する子どもの数が減る⇒子どもの人口密度が小さくなる=「まばらにしか子どもが存在しない」ということになります。
ある程度の母数のある集団は「意図的に作るしかない」ことを意識してほしいと思います。
おまけに子どもの数が減って小学校の統廃合が進むと、これまで以上に校区が広がり通学距離が長くなって、誘拐の危険性が高まるおそれもあります。
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下校時間における現状と問題点(時間差による問題)
1a.学年による下校の時間差がある。
小学校では1年生~6年生までの児童がいます。学年によって授業時間数が違うため、学年により下校時刻が少しずつずれてしまいます。兄弟姉妹がいても「一緒に帰れない」ことが多いです。
一般に下校時間は低学年下校時間と高学年下校時間に分かれているようですが、そもそも少子化のせいで児童の人数が少ないという学校も多いので、集団下校という形をとっても、すぐに分岐点で集団がバラけてしまい、結局1人ずつになってしまうこともあります。
学年解散にすると、もっと人数が減ってしまいます。(学年1クラスという学校も多く存在します。)
1b.クラスによる下校の時間差がある。
学年でその地区に何人か子どもがいたとしても、クラス単位になると「1組はA地区の児童は1人」のようなこともあるので、クラス単位ではもともと一緒に下校する児童がない状態になっています。
ところが、各担任によって下校時刻がマチマチであることも多いものです(「終わりの会」などの下校前のホームルームの時間の長さが違う)。ひどい場合だと1クラスだけ毎日下校時間が「30分近くも遅い(-_-;)」などといったケースもちょくちょくあります。
また運動会や学芸会の時期になると、クラス単位での放課後活動もあり(授業時間内で終わらないため)、そのため1クラスだけ最終下校時刻まで残って活動している場合もあります。
このように、クラスにより下校時間が違うと、学校を出た時点ですでに1人になっている可能性もありなのです。
1c.委員会活動などによる下校の時間差がある。
高学年になると「委員会活動」という活動もあります。それぞれクラス単位で1~2名の選出になっていることが多く、学校の委員会全体の人数が10人いるかどうか…という状態の場合も多いものです。
委員会活動は6限目に行っている学校もありますが、放課後に活動する委員会もあります。もともとの人数が少ない上に、各委員会によって終了時間がバラバラであることも多いですし、「もうちょっとだけね」と1つの委員会だけかなり遅くまで残っていたりもします。
結局、このケースも学校を出た時点で1人になる可能性が非常に高いです。(登校時には「募金活動」などで集団よりも早くに登校が必要な委員会活動もあります。)
2.下校時(学校内)の児童の動きを把握していない。
「集団下校」の場合、一旦運動場に子どもたちを集めてから下校させるようですが、先生が全児童を一度点呼し、「全員そろっている」という状況を把握してから下校させていないケースも多いのではないかと思います。
いわゆる「ながら集団下校」です。
子どものことなので、一旦教室を出たものの「トイレに行く」「忘れ物をした」「友だちに叩かれて下足室の隅で泣いている」などのこともあります。この状況に気付かずに集団下校させると、その子どもたちは学校や教室で「取り残されている」状態となり、1人遅れて下校することになってしまいます。
点呼しない限り、こうやって「集団から取り残される子」が必ずいると思ってもいいと思います。
また、一旦運動場で集合せず、学校の一斉放送だけで集団下校させている場合は、学校を出た時点ですでに1人で下校する子どもが発生します。「われ先に…」と駆けていく子が必ずいるからです(笑)
3a.友だちがいつも一緒だとは限らない(欠席の場合)
「いつも友だちの○○ちゃんと一緒だから」と親は安心していても、その○○ちゃんが欠席した日の下校はどうなるでしょう。学年があがるにつれて「下校仲間」というものがいるので、別グループの子どもと一緒には帰りにくいようです。(特に女の子にこの傾向が顕著のように思います。)
登校班が同じなら、登校の際に「今日は欠席」とわかるかもしれませんが、もし親御さんが登校班の集合場所に出向かないならわかりませんし、登校班が違うと集合場所が当然違うので、「今日は○○ちゃんがお休みですよ」ということがわかりません。
まして途中まで一緒という子なら、連絡がない限り絶対にわからないものです。
3b.友だちがいつも一緒だとは限らない(子どもの特性)
子どもは子どもだけの集団になるとテンションを上げることも多いようです。たとえ集団で下校をしていたとしても、分岐点以前に集団がバラけている可能性もあります。
- 突然わ~と走り出してしまい、ついていけず1人取り残されてしまう子がいる。
- グループ内のいさかいやトラブルなどで、1人だけ先に(または遅れて)泣きながら歩いている子がいる。
いずれの場合も、子どもが泣きながら不安げな顔をしながら歩くわけですから、よからぬことを考える人に付け入るスキを与えてしまう可能性もあります。
3c.友だちがいつも一緒だとは限らない(家路を急ぐ理由)
通学距離が遠いと、子どもにとって大問題は「トイレ」の問題だったりします(笑)。集団下校での集合、帰りの準備を急かされることもあり、下校前にトイレに行けずそのまま出発してしまう場合も見受けられます。
子どものことですから、下校準備中に「家まで40分だから、途中でトイレに行きたくなったら困るし、別に行きたいわけじゃないけど今のうちに行っておこう~(^^)v」などという発想がなかなかできないようです…^_^;(帰宅後の第一声が「トイレ~!」ということも多いのです(笑))
そのため、もし集団がダラダラ歩いていつも以上に時間がかかっているような場合は、集団に見切りをつけて1人家路を急ぐこともあります。
もちろん、おけいこ等下校後に予定があるような場合にも、同じことが発生する場合があります。
3d.友だちがいつも一緒だとは限らない(忘れ物…)
一旦、学校を出たはずなのに必ず通学路を逆走する子がいます。「忘れ物」です…(-_-;) 机の中にプリントを入れたままにしていた…、水筒を机の横にかけっぱなしにしていた…などです。
親からすれば「そんなのは明日持って帰ってくればいい」と思うようなものでも律儀に学校に戻ってしまうケースもままあります。
もちろん「忘れ物」による通学路の逆走は登校中が圧倒的に多いです。友だちが持っているのを見て「あっ…」と気付くことが多いためです。登校中は特に時間制限がありますので、相当に急いで帰ってくることになり、誘拐だけでなく交通事故の危険もはらみます。
「忘れ物しても出発したら戻ってはダメ!」ときつく注意しておく必要がありそうです。
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安全マップの問題点(時間の流れ)
子どもが巻き込まれる事件が多発したため「危険マップ」の作成が行われることが多いようです。「ここは危ない」と把握することはとても大切ですが、1度調べたことが全てのケースに当てはまるとは限らないように思います。なので、本当にいろいろなケースを想定してもらいたいと思います。
(もちろん1度「危険」と判定された場所は、改善策が取られない限り危険であることに変わりはありません。)
1.季節によって死角が変わる。